A&Rとは、アーティスト＆レパートリーの略で、アーティストの発掘から育成、楽曲の制作、宣伝などに総合的に携わる人のことを指します。

A&Rの活動スタイル

• レコード会社、レーベルに所属して活動する

一般の人からは見えにくい裏方的な存在ですが、アーティストの活動全般をコントロールするとても重要な仕事です。
アメリカなどでは責任のある職業として扱われていますが、まだ日本ではあまりそのような傾向は見られないようです。

たくさんのスタッフを管理するA&Rの仕事には、高いコミュニケーション力が求められます。常に流行や世の中の流れを追いかけるトレンドを掴む力も必要です。

A&Rの仕事内容はとても幅広く、ひとつひとつ詳しく説明すると長くなってしまいますので、ここではごく簡単にまとめます。

• 音源制作
  担当するアーティストの音源制作にまつわる全ての業務
• 宣伝業務
  宣材資料の作成や配布、ミュージックビデオの制作、テレビ・ラジオ・ネット番組への露出、CDショップでの展開に関する流通会社との打ち合わせなど。
• 新人アーティストの発掘
  ライブ会場でのリサーチや業界関係者へのヒアリング。ネットやテレビの話題もチェック。
• アーティストマネージメント
  ライブブッキングの窓口業務、ツアーのスケジュール管理、タイアップ獲得のための営業など。
• その他レーベル内の雑務
  経理作業、レーベルWebサイトの更新や管理、オンラインショップの管理など。

音楽業界の仕事は一見華やかですが、現実はかなりたくさんの仕事をこなさなければなりません。

A&Rの醍醐味は、アーティストのスタッフであると同時に、アーティストの最大のファンでもあるということです。

自分が好きなアーティストの新曲ができていく過程を間近で見守り、完成する瞬間に誰よりも早く立ち会えます。

アーティストがどんどん大きなライブ会場を満員にできるようになり、広い景色を一緒に見ることができたときは、言葉で言い表せないほどの大きな達成感を味わえます。

本当に音楽が好きで、厳しい環境を乗り越えるタフな精神力と音楽への熱い愛情があれば、とてもやりがいのある仕事です。

A&Rになるためには、特に資格などは必要ありません。

音楽系の専門学校か大学の文芸学科などで基本的な教養と知識を学び、音楽関連の出版社やプロダクションで実績を積んだ後、A&Rの仕事に就くことが多いです。

実際に仕事を始めてからも、時代の流れに取り残されないようにしなければなりません。今どんな作品が注目を集めているのか、これからどんなものが流行るのか、様々なカルチャーにアンテナを張り、自分の目と耳で体験する姿勢が何より大切です。

A&Rの数多い仕事の中で、その軸となるのは、才能あるアーティストを発掘·育成し、楽曲制作に携わることです。

そのため、音楽に対する幅広い知識と世間の流行に対する鋭敏な感覚が必要とされます。

また、仕事柄、様々な人と出会い、交渉することが多くなります。

普段から積極的に人と関わったり、イベントなど必然的にコミュニケーションを取らざるを得ない場に足を運んだりして、コミュニケーション能力を磨いておくことも重要です。

自分から進んで物事を引っ張っていく前向きな姿勢と、周りの意見に耳を傾けながら自分の考えを主張できるバランス感覚を兼ね備えた人は、A&Rに向いています。

以前のようにCDの売り上げをメインにした音楽ビジネスは、この20年ほどの間に大きく変化しました。
音楽の仕事を安定したビジネスとして成り立たせるのは難しい時代です。

それでもA&R業界を目指したいという人は、よほど音楽が好きな人であるはずです。

好きなことを仕事にするというのは大事ですが、社会人になると、それ以上に好きではないこともたくさんやらなければなりません。

そのため、好きではないことにもポジティブに取り組める人間になる必要があります。

「これは自分の性に合わない」とか「これは嫌いなので」とか、自分の価値観を勝手に決めず、いろいろなことに興味を広げ、好きになってみて、それでも音楽が一番好きという人はレコード会社を目指してください。

A&Rは、体力も根性も忍耐も必要な仕事ですが、やりたいことのために頑張れるポジティブな人間であれば、きっと他のどんな仕事よりも楽しめるでしょう。